東京オリンピックと共に鳩ブームの再来を期して・・・

 戦後の混乱期を経て、ニッポンが高度成長期の波に乗る頃に生きて来た男というのは、友達の為に涙を流すだけの心意気があった・・・

 それぐらいの人情を持ち併せていなければ人の上に立てず、趣味の世界では 人の世話は出来ない。

 

 しかし現在のニッポンはどうだろう・・・

 俺が趣味としているレース鳩の世界では、広い心で人を受け入れるという環境が整っていない。

 本来ならレースを競う事を目的に運営されているのだが、政治をしたい人が増えて来たので尚更だ。

 それにしても純真な子供が そのまま大人になった人が多いのには驚かされる。

 

 ・・・むかしの日本社会は、先輩を立て その道の師匠に教えを請い、無から有を産み出して来た。

 だが今は、多くの人が自分の流派(血統)に こだわりを持ち、趣味として自分の色を出すようになった。

 

 男という生き物は、或る程度 環境が整えば 何でも自分で動かしたいと思う動物だからだ。

 ・・・鳩界も年輩者が多くなり、家族の手前 自分の存在感を示す必要が出てきたのである。

 

 強いて云えば、趣味の世界では「うちのお父さんが一番」だと どの家族も思っているのだ。

 

 日本鳩レース協会自体が一般社団法人に移行したので 当たり前の話しだが、会員は全て社員になった。

 それに伴い公益団体ではなく 収益事業を営む事が出来る利益追求が可能な団体になった。

 そこに利権が絡む訳だが、我々の協会にそんな不届き者は居ない。

 協会の職員がしっかり裏方でサポートしているからだ。

 

 協会には「レース鳩」という機関誌があるが、この機関誌も 事業の一環として収益を上げねばならず、俺たち鳩飼いが 子供の頃から楽しみに購読している「愛鳩の友誌」と競合する場合がある。

 そこで、趣味の団体としてはむずかしい対応を迫られる訳だ。

 こう考えれば協会の理事は「腹の太い」政治が出来る人でなければ務まらない。

  

 一般社団法人の定款から解釈すると、普通のサラリーマンでも力があれば のし上がれる社会が鳩の世界だ

 ・・・協会が一般社団法人になった今、大企業としての地位と名誉が保障された。

 そして大企業と同じ権限を、理事が持てるシステムになったのだ。

 

 鳩飼いは アナログ(古い)人間が多いので、こんな仕組みになった事を知らない人間が大半だ。

 

 鳩も自分で飼ってないような男が協会の役員になって 金を自由に動かして来た時代が何年か前には有った。

 

 そんな事情があり、現在の執行部に替わったようだ。

 協会の役員は政治家と同じで、或る程度の資質と行動力がなければ務まらない。

 

 その点、俺の友人である堀尾優会長と 内山勝博副会長は、全てを兼ね備えた逸材である。

 いずれ協会の総会で執行部に詰問する機会もあると思うが、俺は現執行部も人物揃いだと信じている。

 

 余談だが、俺が協会役員の中で尊敬するのは 特別顧問の山本雅嗣 椿山会初代会長だ。

 この人は、人格・品位・実績 どれを取っても鳩界の生き字引きと云っても過言ではないだろう。

 因みに歴代会長の中には、天下の笹川良一(日本財団創立者)も居るぐらい名誉のある団体である。

 

 最後に 五仁會の発会式に駆け付けてくれた俺の友人・吉原謙以知が書いた「レース鳩・知られざるアスリート」幻冬舎ルネッサンス刊を紹介する。

 この本を読めば、俺の趣味であるレース鳩の世界が多少なりとも分かるはずだ。