暴力団"離脱"への道 NHK報道番組・ドキュメント「決断」

8月14日放映のNHKドキュメンタリー番組を収録中の西山俊一郎(右)を激励する盛力健児(左)と竹垣悟(中央)
8月14日放映のNHKドキュメンタリー番組を収録中の西山俊一郎(右)を激励する盛力健児(左)と竹垣悟(中央)

 私が暴力団員と犯罪者の自立更生支援をする事業に参入したのは、将来的展望に立った日本の国体を護持する為である。

 

 暴力団を離脱した人間とか刑務所を出た人間というのは、どこで知恵を付けてくるのか生活保護を受ける人間が多い。

 

 これは、むかしの日本人の概念から云えば生活保護を受ける人や、その家族は「日本人の恥さらし」だと云われていたので、当時の財務省の役人たちは「現在のように誰でも生活保護を受ける時代が来るとは想定しなかった」と云うのだ。

 

 これもあながちオーバーな表現ではないようだ。

 

 それだけむかしの日本人というのは、武家社会の名残りが生活の隅々まで行き渡り「プライド」がまだ時代の隙間に残っていたからである。

 

 一昨年の話しだが、私が新宿の「リセンス学級」という勉強会に出席した時に、講師役で来ていた自民党・参議院の片山さつき議員がこの問題をテーマに、侃侃諤々と議論していた。

 

 私は、いま暴力団を抜けて5年以上経った人間を五仁會に入れ「廃品回収業」をさせている。

 廃品回収業をさせることによって「生活保護」に頼らなくても良いからである。

 

 人から見れば汚れ仕事だが、この仕事をする男は生活保護を受ける人間に比べたら立派なものだ。

 額に汗をかいて仕事をすることは良いことなので、私はこの問題に就いて「姫路市役所の環境局・美化部・リサイクル推進課」に行って、五仁會の主張を述べて来た。

 

 その時に対応に出てきた美化部の担当者は、筋道のハッキリした「役所」としては誠意ある対応をしてくれた。

 私はその対応を聞いて「なる程」と思ったので、その旨を五仁會・廃品回収部門の担当者に話した。

 

 姫路市には古新聞を始めとする古紙業の組合があるので、この古紙類の回収は一切するなと私所の関係者には云ってある。

 だから五仁會・廃品回収部門の者は、古紙泥棒のような真似をする者はひとりもいない。

 

 姫路市は夜中に2トントラックで来て、古紙類を盗んで行く業者が後を絶たないので頭を痛めていると云うが、市にこの問題に対する危機感が乏しい為に「条例」に結び付かないと云うのが実情だろう・・・

 同じ兵庫県でも神戸市にはあるからだ。

 

 家電リサイクルだが、この問題も野放し状態が続き、有効な打開策が練れていないというのが本音だろう・・・

  

 話しは変わって、8月14日午後10時55分から11時20分までドキュメント 決断「暴力団’’離脱”その先に何が」と題した番組が放映された。

 サブタイトルは「覚悟と挫折の壮絶秘話 密着・元組長の奮闘記」と書いてあった。

 

 当初、私にも取材依頼があったのでディレクターと一回、姫路の日航ホテルのロビーで会ったのだが、NHKの取材したいテーマと私の活動実体が伴わないので私の話しは取り上げられなかった。

 

 結果、私の盟友団体である「日本青少年更生社」の西山俊一郎師が取り上げられることになった。

 

 ・・・私の率いる五仁會は今回取材対象外だったのだが、7月14日に東京からNHK取材班がカメラを持ち込んで善通寺に来ると云うので、私と新免正礼それに嫁の絹代とが後学の為に見学に行った。

 

 途中、盛力健児師も合流して静かに収録を見守った。

 

 こうして「志し」を同じくする者同士が、四国の善通寺で会えたということは、弘法大師の導きかも知れない・・・

  

 ・・・番組放映の日、家族皆でこの番組を観た。

 

 この番組の中で流れたナレーションをひとつ紹介することにする。

 

 「暴力団排除」その裏で何が・・・

 組織を抜けた者は、どこへ行ったか・・・

 暴力団の数を減らすだけでは治安は守れない。

 最終的に、どこで受け止めるかだ・・・

  

 最後に西山俊一郎師が「社会が求めた暴力団対策法を国が施行し、県も条例として実行した。今度は、その人たち(元暴力団員)が社会に戻った時、受け入れる側も本当の決断をして多くの更生者を作ることをして欲しい・・・」と話して放映は終わった。

 

 番組終了後、日本の暴力団組織も大きく変貌しているのが実感として視聴者に伝わったことだろう・・・