暴力団が現在(いま)シノギをするのも難しくなり液状化して居ると云うが、こんな事はとっくのむかしに分かりきったことなのだ。
それが分かって居たから、三代目・田岡一雄組長は「組員に正業を持て」と云って来たのである。
そして事業をして居る者は堅気になっても良いと、度量の大きさを示したのだ。
世論と云うのは「暴力団員」ひとりに向けられたものではなく、その恩恵に与(あずか)る者すべてに向けられた世の中全体の言葉である。
私はいま体を張って、暴力団員に猛省を促して居るのだ。
私の経験から云うと「出世盃」なら飲んでも良いが、それ以外は男たる者、惰性(だせい)に流されるべきではないのである。
古来より続く、日本文化の象徴である「夫婦固めの盃」も、男同士が「意気に感じて飲む盃」も或る意味皆同じなのだ。
ついでに愚連隊の事も云っておこう・・・
両親が揃って居て、何ひとつ不自由なく育った者が「グレて」愚連隊になるのは良く分かる。
問題はそこからだ。
余程の事が無い限り、愚連隊みたいな組織の為に命を賭ける馬鹿は、そうザラには居ないだろう・・・
愚連隊等、子供の反抗期と同じで、ある程度、歳(とし)が行けば流行病(はやりやまい)のように消滅して行くのだ。
その点暴力団と云うのは、国益を損なう場合が多い。
何よりも税金を払わないばかりか、使わせるだけなので国家にとっては無用の存在になったのだ。
私も偉そうな事は居えないが、そう云う事になるだろう・・・
「むかしのヤクザなら、からだで返しまっさ」で済むかも知れない。
だが今の御時世、一回「ドンパチ」とやれば使用者責任とは別に、間違いなく20~30年の懲役が来る。
それで死刑になるなら「男の本懐」も遂げられようが・・・
しかし無期と云う判決が下りようものなら「蛇の生殺し」と同じで、しんどい人生になる。
それも身内がある内は良いが、歳月の流れと共に面会に来る者もひとりも居なくなったと云うのであれば「シャレ」にもならない。
私はいま浅草寺(せんそうじ)の近くでこの原稿を書いて居るのだが、書いて居てつくづくこの世の不条理を思う・・・
むかし警察官だった友人に聞くと「相手が何者であっても警察官として、命を賭けて国民と正義を守って来た」と云うのだ。
私もむかし、体を張って組を守って来たと云いかけたが、自分がせこらしくなるのでやめた。
今、国際情勢は緊迫した状況にある。
中国との領土問題に帰来するアメリカ軍のP3C哨戒機や、我が国の自衛隊機・F15戦闘機など10機が、中国防空識別圏に入ったと報道されるに至る・・・
我が祖国ニッポンもナメられたものだ。
左寄りの政権が右向きに変わったら、菅原文太の言葉ではないが「このザマだ」と云うことだろう・・・
嘆(なげ)き節を云いたいのは、私だけではないと思う。
菅原文太と云えば、私がこの世に生を受けて一番最初の親分が若山富三郎だった。
この若山富三郎の息子がヒロポンで捕まったと新聞に出て居た。
それも夫婦して捕まったと、その後報道された。
これも嘆かわしいことだ。
若山富三郎の息子に私は逢った事はないが、テレビで見た感じでは親父似で、する事は伯父の勝新太郎似かなと思う・・・
勝新太郎も私は実際逢った事はないが、竹中正(現竹中組々長)とは仲が良かったそうだ。
竹中正は堅気なのに、なぜ今頃になって(三代目)竹中組々長を名乗るのか・・・
思い当たるとすれば、この人は昔から堅気に人気があった。
そう云う面では男の生き様として、侠客と呼んでも差し支えないだろう・・・
この人も「ハワイ事件」で全霊を賭けて一和会と戦って来たのである。
だから山口組最大の功労者のひとりなのだが・・・
それにしても80歳近くになって侠客になるとは恐れいった。
余談だが、ヤクザの戦争など「条理なき戦い」だと作家の飯干晃一は本の題名にしたが、20数年経った今、やっとこの意味が理解出来る。
そう考えれば極道社会は因果な稼業である。
コメントをお書きください
城 健三郎 (土曜日, 05 4月 2014 22:51)
実話ナックルズ 5月号を見た。
表紙にシャブ逮捕俳優に緊急インタビューと題し、若山騎一郎懺悔インタビュー 私は覚醒剤で地獄を見たと見出しが付いていた。興味のある方は本を買って下さい。