麻薬追放ニッポン浄化作戦

昭和極道史・首領への道(村上和彦原作)の主役を演じた清水健太郎は素晴らしい役者振りだった。自分が演じた役柄そのままの男に再起する事を願う五仁會頭領・竹垣悟である。
昭和極道史・首領への道(村上和彦原作)の主役を演じた清水健太郎は素晴らしい役者振りだった。自分が演じた役柄そのままの男に再起する事を願う五仁會頭領・竹垣悟である。

 麻薬・覚醒剤等の薬物依存者に対する取組みを五仁會で考える

 

 薬物犯罪者の再犯率が最近特に社会問題化して居るそうだが、その特集番組をテレビで見て居ると、アルコール依存症と覚醒剤依存症を同じ周波数で捉えて居るので驚かされるのだ。

 

 私が過去5回に及ぶ刑務所生活や暴力団の組長時代、覚醒剤中毒者と向き合い、その人達を多く見て来た経験から云うと、覚醒剤事犯に於いて再犯者の全ては「意志が弱い」と云うのは周知の通りだ。

 

 でも不思議な事に意志の弱い人間でも一回刑務所に入り、懲りたらその一回の懲役で覚醒剤から手を切り、一部の人間は酒の方へ切り換えるのだ。

 只し、覚醒剤でセックスを覚えた人間は何度刑務所に入っても「止められない」のが現状である。

 

 私が見て来た若い者の中には、刑務所を出て「今度は真面目にやっているな」と思って居たら女が出来て、それからまた覚醒剤が始まる場合が多かったように思うのだ。

 覚醒剤を一発「スカッ」と決めてからする「セックス」は、この世の「桃源郷」で、このセックスの味を覚えると何年刑務所に入っても、その刑務所の中で「シャブセックス」の夢を見ると云うのだ。

 まして刑務所と云う所は「シャブ友達」を作りに行く様な所であり、むかしは「何々薬局」と云われるぐらい「覚醒剤の売買」を、組の資金源にして居るところもあったのだ。

 

 覚醒剤と云う面に関しては、私の知って居る「山口組」の組員が、それを資金源にして居ると云う話しは最近は、とんと聞いた事がない。

 むしろ、三代目田岡一雄組長時代から「覚醒剤撲滅」に力を入れて来たのが山口組なのだ。

 

 イギリスと中国の「アヘン戦争」を見るまでも無く「薬物」と云うのは亡国への道を辿る最短の道だと云われて居るからである。

 私は「覚醒剤撲滅」を国家問題として捉えるなら、今こそ「暴力団に認定されて居る組織」が声高に「覚醒剤撲滅」運動に真摯な姿勢で取り組まなければならないと思うのだ。

 

 田岡組長時代は制服や帽子まで作って、姫路では親分・竹中正久自らが陣頭指揮を執り「麻薬追放国土浄化同盟」の旗印の下に、大々的に「麻薬追放運動」を展開して居たのは歴史が証明して居る通りなのだ。

 

 いくら「グループセラピー」で、薬物依存者に「更生プログラム」を説いても、その時はそのプログラムに従うが「薬物仲間」から誘いの電話が一本あれば、それでもう「その人の心」は覚醒剤の方に走るのである。

 学校で、先生が生徒に勉強を教える様な単純な教育で「薬物依存者」を更生させられるのかを真剣に考える時が、今まさに来て居るのではないのだろうか?

 そこの所を考えて「薬物事犯」で10年以内に「3回続けて懲役」に行った者は、重度の精神病患者の居る「精神病院」へ収容するべきなのだ。

 

 3回も薬物事犯を続けて起こす者は意志が弱く、自分の欲望を自分で抑えられない人間であるからだ。

 そんな人間が薬物を打ってない「正気の時」狂った人間と一緒に生活すると、間違いなくその生活に拒絶反応を起こすと「ポン中」が語っていたのを刑務所で聞いた事がある。

 精神病棟と云う劇薬を用いて病状の改善を図るのも、犯罪者更生支援の一環なのである。

 

 私に施設ひとつを貸与してくれたら、そこで薬物依存者の更生プログラムを作り、優秀なスタッフを育成して行くのだが、そんな夢物語が実現する程、世の中は甘くないと解っているのだが・・・

 

 しかし、むかしから「餅屋は餅屋に任せて」と云う「ことわざ」が有るので、私の夢物語を実現させるのも時代の要求かも知れないのだ!

 暴力団の組長時代は抗争事件を想定して薬物問題も含めて、或る程度の事には目をつむって来た私だが、社会正義を考える立場になればそれも限度がある。

 

 私は麻薬・覚醒剤等の薬物使用には当たり前の話しだが、断固撲滅派である。

 私も若い頃にくぐって来た道なので、薬物使用の怖さと愚かさが良く解るのだ。

 竹中組では有名な話しだが、私は若い頃、親分・竹中正久に「覚醒剤の魔力」と「人格の破壊」を説かれ、田岡一雄が嫌った理由も聞かされたのである。

 

 私の様な強固な意志を持つ人間でも、5年間の懲役時代に躰で覚えた「辛抱」が無かったら「ふとした気の迷い」を止められないかも知れない。

 それぐらい「覚醒剤の魔力」は強いものである。

 

 私の場合は「若気の至り」で済むが、今なお刑務所を出たり入ったりして居る人間は、それで人生が終わりなのである。

 一時の快楽に負ける人間は沢山居る。

 そこを更生させるのが、更生支援団体である我々五仁會の役目だと心得るのだ。

 

 私は「アメ」と「ムチ」派なので、私の更生プログラムに入れば、少し前までの精神病棟と同じ様な治療も再開させる。

 それでも覚醒剤を止めない人間は、私は「スパルタ教育」を行い、懲役覚悟で戸塚ヨットスクールの戸塚宏の様なスタイルで「ポン中」に臨む。

 

 体罰こそ今の教育現場には一番必要であると信じるからだ。

 綺麗事で人が云う事を聞く程、人間は「知性化」して居る動物ではないのである。

 こんな事は分かりきった事なのだ。

 

 どの世界でも怖さを教えずして、教育は成り立たないのである。